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料理療法公式アカウント

料理療法に

参加を

すすめたい人

基本的にはどなたでも料理活動への参加は可能です。特に料理好きな人、食べることやものづくりが好きな人、人の役に立つことに喜びを感じる人などが向いています。他にも、施設に入ってから元気がなくなった人や、自信を失っている人、うつ傾向にあるような人も、料理活動がきっかけとなって元気を取り戻すことがあります。男性でも料理経験があるなしにかかわらず、参加をすすめてみましょう。

高齢者に対する対応の心得(基本方針)

  1. 参加者の潜在能力と自発性を引き出すために、参加者が自分でできることは、可能な範囲でしてもらいます。また、参加者のやり方を尊重します。

  2. 人生の先輩である参加者から「料理を教えていただく」という尊敬の念をもって接します。

  3. スタッフはセッティングと見守りが中心で、できないところを手助けします。

 

アセスメントは個人の状況を知るためにとても大事です。事前にしっかり情報を集めましょう。

料理活動中のリスクを避けるために、心身の機能とその障害に関するものは確認しておきます。料理療法を始めるにあたって、支援を適切に行うために参加者の情報把握が必要です。また料理活動には食事場面を伴いますので、嚥下状態や食事形態、食事動作などを確認します。

くわしいアセスメント表は「料理療法」の書籍(クリエイツかもがわ刊)をご覧ください。

 

個人アセスメントを分析して、料理療法の計画を立てます。1対1(個人対応)で行うか、グループで行うかを決定し、個人の目標とグループで実施する場合は、グループ全体の目標も設定します。実施する時間帯や頻度、スタッフ、参加者を決定します。グループで実施する場合は、1グループ9人まで、できれば7人程度とし、多い場合はグループを分けます。できる限り同じメンバーで毎週または、隔週など定期的に数回以上繰り返し実施すると、なじみの関係ができてよいでしょう。さらに、料理メニューや支援方法、役割分担など、実施内容を検討します。

まずは参加すること自体が大きな目標となりますが、楽しく作って、おいしく食べ、達成感を味わう、それが一番大事な目標となります。事前に把握した参加者の情報をもとに、個人のQOLの向上につながるような目標を設定しましょう。

 

進め方

開始時に、本日作る料理の説明をします。テーブルに使用する材料を並べておき、説明するとよいでしょう。材料から料理名を当ててもらうのも一案です。次に、あらかじめ決めておいた役割分担に応じて、材料や調理器具を渡し、料理活動を進めていきます。

支援の仕方

療法的効果は、参加者が自分自身で行うことにより、得られます。参加者が料理をする際は、できるだけ自立できるように働きかけ、やる気を引き出すような支援を心がけましょう。

言葉かけの仕方

  1. 言葉をかけるときは参加者を敬う気持ちを忘れないようにしましょう。

  2. 基本的には「教えていただく」という姿勢で話しかけましょう。

  3. 作り方や切り方についても、「何から炒めましょうか?」「…を作りますが、どのように切りますか?」「味付けには何を入れていましたか?」などの言葉かけで、参加者のやり方を引き出します。

  4. 「分からない」「教えてください」と言われた場合には、「煮込むのですが、どれくらいに切ればいいでしょうか?」「これくらいがいいでしょうか?」など、答えを引き出す言葉かけをしましょう。

  5. 認知症の程度によっては、分からないことを聞かれると不安になる場合もありますので、「どのようにしましょうか?」と聞くのではなく、「〜するといいでしょうか?」「これでいかがでしょうか?」という言葉かけをしましょう。

  6. 絶対に言ってはいけない言葉は「危ない!」という言葉です。参加者が委縮したり、緊張してスムーズにできなくなる場合があります。「〜してはいけない」など否定的な言葉かけもいけません。料理活動への参加が嫌な印象になる場合もあります。

  7. 作り方やきり方などが多少間違っていても、受け入れる気持ちをもちましょう。そのような場合には、スタッフが後で修正すればよいというくらいの気持ちで対応しましょう。

  8. 料理を計画どおりに作り上げることが目的ではありません。気持ちに余裕をもって、楽しい会話を意識するように心がけましょう。

  • 時間は60〜90分以内を目安とします。初めて料理療法を導入する場合や、慣れていない参加者が多い場合などは30〜60分と時間を短くしましょう。

  • 長時間集中が続いた場合は、途中でお茶を飲むなど、休憩を挟むようにしましょう。

  • メニューの中でも下ごしらえに時間のかかる料理は、事前にスタッフが準備しておき、短時間で完成するように工夫します。

 

ふりかえり

料理療法終了時には、短時間でもスタッフの「ふりかえり」の時間をとるように心がけます。ミーティングが実施できない場合も、実施記録や評価を記入しておきます。 実施時の記録は評価内容に沿って記入し、参加していないスタッフと情報を共有できるように心がけましょう。

 

評価内容

参加者個人の評価として、表情・参加意欲・集中力・発言・社会性(他の参加者との交流)などを項目として点数化し、実施前後の変化が分かるようにします。細かなこと、発言内容や行動なども特記事項として記載します。また、料理療法グループ全体の評価として、メニューの適合性、参加者の選び方や、会話の活発さ、スタッフの支援方法などの評価をします。

 

事後に心がけること

料理療法を有効にするためには、ケアプランへの反映が欠かせません。料理療法への参加前後の日常生活における変化を記録などで情報共有し、次のプランにつなげることが大切です。スタッフは料理活動を実施しているときだけでなく、料理活動終了後の参加者から感想などを引き出したり、どんな料理を作りたいかなどを話題にし、次につなげます。